2009年8月 美術館を楽しむ方法

メトロポリタン美術館、MOMA、グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館など、ニューヨークにはいくつかの世界的に有名な美術館があり、それらは日本のニューヨーク旅行ガイド等にも掲載されています。でも実は噂によると100を超える美術館がニューヨーク市にはあるとかないとか。一度友人と知っている美術館の数を数えてみたこともありますが、30を数えることもできませんでした。
数も多ければ、大きさも日本の美術館とは比べ物にならないほど大きなところもあります。例えばメトロポリタン美術館は、さっさと見て歩いても2日はかかると言われています。1点1点全てをじっくり見ようと思えば1週間近くの時間を要するのではないでしょうか?
私はニューヨークに滞在しはじめてからいくつかの美術館の”メンバーシップ”に入会しています。大きな美術館になると1つの美術館でいくつもの展覧会が開催されています。1日で見ることも急いでならば可能ですが、メンバーになれば何度でもメンバーカードで入館できますから、私は1日に見る展示は1つ、もしくは2つくらいまでにして、1つの展示にゆっくりと時間をかけて見るように心がけています。良い展覧会、パワーの強い展覧会などは1つ見ただけでもお腹いっぱい。次の展示をみても消化することはむずかしく、ただただ作品の前を通り過ぎるだけになってしまうので次々と数を見るというよりは、見た展覧会の余韻にひたるようにしています。ですから月に2回3回と同じ美術館に行くこともあります。
私はアーティストですが、もちろん美術館に展示されている作品の全てを説明できるわけでもなく、歴史を完璧に覚えているわけでも、全ての作家を知っているわけでもありません。中にはアメリカで有名で日本ではそれほど知られていないという作家も存在します。私は知らない作家の作品を前にするとき、その作品の前に立ち、作品の発するエネルギーを感じとるようにします。その時にははっきりと解らないにしても、エネルギーを感じることは誰にでもできることですし、そうすることで全く関係のない時にふと謎が解けることもあります。
私は今まで使ったことがありませんが、美術館音声ガイドを使うという方法もあります。音声ガイドを使ってゆっくりと美術館を歩く人々を今まで幾度となく目にして、いつかそれを聞きながらゆっくりゆっくり美術館で過ごすのも面白いかもしれないと思っています。
あとは音声ガイドではなく、ガイドツアーで美術館の中を歩き回り作品を見るという方法もあります。この間MOMAでの2つのガイドツアーに参加してきました。参加は無料でいつツアーがあるのかはMOMAのホームページで告知されています。MOMAの場合は決められた場所に決まった時間に行くだけでツアーには無料で誰でも参加できます。今回のガイドの1つはMOMAの建物そのものについてのもので、新しいMOMAをデザインした建築家の谷口吉生氏にも興味がわくような興味深い説明でした。(写真はMOMAのスカルプチャーガーデンとそこから見えるまわりの古い建築物について解説中)
一人で感じる美術館も良いけれど、音声ガイドやプロのガイドで新しい発見があるかもしれません。ガイドと自分が感じた作品への感想、印象とのギャップを楽しむのもひとつ、ガイドで勉強するのもひとつです。少し早いけど芸術の秋にむけて自分なりの美術館、作品の楽しみ方を探してみませんか?

(text・photo/澤田知子)

澤田 知子
フォトアーティスト、成安造形大学2000年卒。
現在、文化庁在外研修員としてニューヨーク在住。
第29回木村伊兵衛賞受賞。
セルフポートレートの手法で「内面と外見の関係」をテーマに作品を制作し、国内外で発表している。

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