いかに情報を収集するか その4

RSSリーダーやTwitterはただの情報取得ツールなので、使い方の違いで便利なものにもそうでもないものにもなってしまいます。どのように使えばより有用な情報収集ツールになるでしょうか。何が有用かは、人それぞれですので、「このWEBサイトをチェックすればいいよ!」と、勝手に断定することはできません。ですから、具体的に何をチェックするかは、それぞれ自分で見つけるしかないのです。しかし、何をチェックすればいいかの考え方は学ぶことができます。と、いうわけでインターネットのことを知るのがいいですが、その前にもう少し広い意味で「ネットワーク」のしくみを少し考えてみましょう。

ノードとエッジ

図1

突然ですが、あなたは何人の知り合いがいますか?
5人でしょうか? 10人でしょうか? 50人でしょうか? いや、もっともっとという人もたくさんいると思います。
知り合いであるということは、人と人がつながっている状態といえます。その「つながり」を図にしたものが図1です。番号がつけられた円とそれらを結ぶ線が描かれています。ネットワークの世界では、この円を「ノード」、線を「エッジ」もしくは「リンク」と呼びます。電車で例えると駅がノード、線路がエッジとなります。さきほどの人と人の知り合いの例で例えると、人がノード、知ってる者同士をつなぐのがエッジですね。

もう少し図1を詳しく見てみましょう。
6番は知り合いが1人います。1番は知り合いが2人います。4番は3人の知り合いがいることを示しています。6番は4番の人を直接知っていますが、5番のことは知りません。4番は6番も知ってるし、5番も知ってるわけですね。実際の人間関係もこれと似たような状態になっています。大学を例にいうと、1年生は同じクラスメイトのことは知っていますが、2年生のことは知らないということは考えられます。しかし、教員は1年生も2年生も3年生も4年生も卒業生も知っているわけです。

情報の伝わり

さて、情報収集の話に近づけていきましょう。

図2

図2の5番が夏目漱石にハマっていたとします。もう好きすぎて周りの人に夏目漱石の話ばかりしています。ついには自分のことを吾輩と呼んでいるようなやつです。1番、2番、4番は毎日5番から夏目漱石の話を聞かされるので、感化されてきています。 1番と2番はお互いに知り合いなので、1番、2番、5番は非常に濃い夏目漱石ワールドが形成されつつあります。一方4番は5番とも知り合いですが、他に3番、6番という5番を直接知らない友達がいます。なので、5番から放たれる夏目漱石の情報は薄まっていることが予想できます。3番はどうでしょうか。3番は直接5番を知りません。しかし、4番と2番以外の知り合いがいない状況です。4番も2番も5番からの影響を受けているので、間接的に夏目漱石に染まっていくでしょう。さて、最後に6番です。6番は4番しか知り合いがいないので、3番のように挟み撃ちになってない分少しマシかもしれません。

このように、情報というのは人づてに伝わっていくものです。5番が発信源となって発せられた夏目漱石に関する情報は、4番へ伝わり、6番に届く。伝言ゲームのようなものですが、あらゆる情報は多かれ少なかれこのような性質を持ってます。

さて、この中で一番情報収集において不利なのはどれか。直感的にわかると思いますが、6番ですね。6番は4番としかつながりがない。4番に届いた情報しか知ることができないですし、情報発信するときも4番にしか知らせることができないのです。悲しいなぁ、と思われるでしょうが一般の多くの人はこの6番の状態です。5番や4番のような立場にいる人はむしろごく少数なのです。

さて、一般人である私たち6番の問題は何か。6番はこの図2の世界の状況を検証することが非常に難しい立場にあります。何せ、4番からしか情報が来ないのですから。4番がウソをついていたり、勘違いしていたとしてもそれを信じるしかありません。また、何かメッセージを世界に発信したかったとしても、広まるかどうかは4番次第です。情報戦において非常に弱い立場なのです。しかし、この状況のままでいる限りどうしようもありません。

情報のハブ

図3

図3はWikipedia周辺のネットワークのつながりを図式化したものです。この図の中のノードとエッジの関係をよく見て欲しいのですが、ある特徴がありますよね。リンクが集中してる部分がいくつかあり、そこから放射状に枝が伸びています。インターネットは、ハイパーリンクでつながり、リンクを伝っていくことでいろいろなページにジャンプできる仕組みになっています。結果として、人気のあるところはたくさんリンクでつながれ、人気のないところはほとんどリンクされないという特徴を持っています。

たくさんリンクされているところは、線が集中しています。その中心になっているノードのことを「ハブ」と呼んでいます。インターネットはすべてのノードが均質に同じ数のリンクで結び合っているわけではなく、この図のようにハブが複数あってその周りに衛星のように過疎のノードがぶら下がっているような構造になっています。現在のインターネット上で最大最強のハブはGoogleです。Googleは自らもリンクをたどってWEBページ情報を収集し続けていますが、情報に強ければ強いほど検索サービスとしての価値も高まっていくので利用者も増え続けているのです。

ハブは人気があるから、ハブとして成長していくのですね。面白い情報や有用な情報を発信しているから、みんなが集っているわけです。そして同時に情報が集めやすい立場にいるともいえます。人間のネットワークに例えると、ものすごく知り合いが多い状態です。知り合いが多いといろんな人から話しかけられたりします。ハブの下には様々な情報が集まるのです。Googleの場合はシステムとしてそれを行ってもいますが。

ハブの役割を果たしているノードは情報収集という意味において過疎ノードと比較して圧倒的優位にあります。

ハブに直結する

さて、ここまで読んでもらえたら、お分かりになるかと思うのですが、図2の6番のままでいるうちは、情報収集はまともにできません。しかし、自分がハブになるにはかなりの魅力が必要です。それはなかなか難しい。そこで、オススメは情報のハブとなっているノードとつながりを持て、ということです。

どのような業界にも多かれ少なかれ図2のような状況はあります。情報通のような人というのがいるものです。そして、業界を牛耳っているような大御所も。そういうハブに目を付けましょう。直接知り合いになるのが一番ですが、そこまではなかなか…というのが一般人というもの。しかし、インターネットでなら、可能になります。

前置きが長過ぎましたが、ようやく本題です! ハブと直結することができるツールこそが、RSSリーダーとTwitterなのです。

RSSリーダーとTwitterの特徴は、勝手にこちらからつながりを作れるという点にあります。相手の発している情報をほぼリアルタイムに受け取ることができる。さらにTwitterだと、どのくらいのつながりを持っているノードであるかは、フォロー数という数字で明らかです。

RSSの場合はそこまで明確ではなく断定できないので、こちらはあちこちのWEBサイトのフィードを集めてみて、吟味する必要があるかもしれません。しかし、いずれはハブになっているノードにいきつくことができるでしょう。注意したいのは、ハブというのは全ての情報を集めているわけではないということ。情報の範囲というのはある程度限られているので、いくつか類似したサイトから情報を集めて穴がないようにするというのも手かもしれません。

【まとめ】情報のハブを探せ!そして、RSSリーダーやTwitterでハブと連結しろ!

というわけで、充実した情報収集ライフをお送りください。まずは人気のあるWEBサイトなどを探すところから始めるといいです。で、いいことを発言している人を見つけたら、その人が紹介している人や本やWEBページを追跡しましょう。そうすると、さらにすごい人に巡り会えたりするでしょう。選ぶポイントは、その人がどのようなネットワークの住人なのか、またどのくらいのリンク数を持っている人なのかです。闇雲に探すだけじゃなく、ちょっとこれらのことを頭に入れて情報を探すといいかもしれません。幸運を!

森田健(講師)

関連情報

参考図書

新ネットワーク思考—世界のしくみを読み解く

『新ネットワーク思考—世界のしくみを読み解く』
アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳)  NHK出版 ¥ 1,995

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