ニューロ・デザイニング

ラモン・イ・カハールによるニワトリ小脳の神経細胞のスケッチ

ラモン・イ・カハールによるニワトリ小脳の神経細胞のスケッチ

オンラインショッピングに秘められた巧妙な心理戦術とは?【ライフハッカー[日本版」】

ニューロ・マーケティング

こちらのブログ記事にニューロ・マーケティングの話題が書かれています。これは、脳の無意識の反応を利用して効率良く売るための戦略です。リンク先には、オンラインショッピングの例が書かれています。写真の工夫、レイアウトの工夫によって買いたくなってしまうように誘導できるというのです。

感情は瞬間沸騰する

私たちは普段、非常に多くの情報をキャッチしています。目や耳や鼻や皮膚などから絶えず何らかの刺激を感じています。常に目からは風景が飛び込んできますし、匂いも常に感じています。音や皮膚感覚や内臓感覚や平衡感覚…などなど全ての感覚器が脳に信号を送り続けているのです。私たちはそれらの信号に対して何らかの反応をするのですが、最もダイレクトに反応するのは感情です。論理的思考よりも先に感情が出力されるのです。

最近の脳の研究や心理学の研究では、感情も様々なものに分類されているのですが、大きく分けて「快」と「不快」に分けることができます。これらは、より有利に種を残すために最適化されていると考えられ、生存に有利な状況を「快」、不利な状況を「不快」と分析するセンサーの役割を持っているのです。生きるか死ぬかの判断は、原始的な世界ではより早い方が有利でした。脅威に対して素早く対処できる個体が種を残すことができたのです。腐った食べ物を口に入れた瞬間吐き出さなければ、食中毒で死んでしまうかもしれません。優秀な相手を伴侶とした方が、より優秀な子孫を残せます。恋愛感情だって例外ではありません。

ヒトは瞬間的に恋をする

このようなものはほぼ無意識的に反応するのです。しかも、瞬間沸騰的です。恋は理屈ではないというのはそういうこと(らしい)です。一目惚れは都市伝説ではないんです。視覚や嗅覚や触覚やさまざまな器官から得られた情報で、脳は瞬間的に恋をするのです。悪い言い方をすると、すごく機械的な反応なのです。感情が瞬間的に答えを出すのに対して、論理的な思考は答えが出るまでに時間がかかります。感情は原始的なシステムで、強い支配力を持っています。感情がYESと言っていれば、論理的にNOと答えが出ていてもダメな場合があります。健康には悪いと思っているけど、タバコを吸ってしまうとか、勉強しなきゃとか思っているんだけど、ゲームをしてしまうとか…は、感情が支配的であるからなんですね。

ニューロ・デザイニングを考える

さて、話を戻します。ニューロ・マーケティングはこれらの感情のシステムを利用したものなんです。感情は強く早く機能します。きっかけさえ与えれば、ポンとスイッチが入ってしまうのです。スイッチが入ってしまったら、もう買ってしまうわけです。今月は苦しいから…とかいう論理的な否定意見を跳ね除けてしまうのです。皆さんも衝動買いをしてしまった経験はよくあると思います。この衝動買いを狙って行うのが、ニューロ・マーケティングだということらしいです。

これはデザインに置き換えられますね。ニューロ・デザイニングです。オンラインショッピングは、買わせるためのデザインですね。他にも応用はできそうです。しかし、気をつけなければならないのは、洗脳行為ではないのかという批判を受ける可能性です。映像分野では、有名な事例にサブリミナル効果というものがあります。映画の中に時々1コマだけ商品の映像を紛れ込ませておく手法です。映画は毎秒24コマの絵が流れていますが、1コマだけだとほとんど認識されません。しかし、意識下で気付いていないだけで、無意識では見えているのです。このサブリミナル効果は問題視され、今ではこれを行うことはいけないこととされています。しかし、多かれ少なかれ良いデザインというのは、ニューロ・デザイニングなんです。どの辺で線引きするべきなのか、脳研究が進めば進むほど問題になってくるのかもしれませんね。

森田 健(講師)

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