第1回 お仕事のキャラデザ



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キャラデザ!第1回 お仕事のキャラデザ

エミ

昨日コピーしてあげたでしょ!

タロウ

そうだっけ。

花子先生

じゃ、この絵は何のスケッチなの?

タロウ

…? ロボットです!

花子先生

いや、それは見ればわかるけどね。
(女の子の方が気合い入ってるようにも見えるけど…)
じゃ、聞き方変えようか。何でロボットを描いたの?

タロウ

熱いからです!

エミ花子先生

……。

花子先生

うーんと、今回の仕事は、自分の描きたいものを
ただ描いてもらうってこととは、ちょっと違うの。
依頼主がいて、こういうキャラクターを作って
ほしいっていう要望
があるのよ。

タロウ

はぁ。

花子先生

その要望を書類にまとめたものが企画書として渡されてる。
私たちは、その企画内容を満たすか、
それ以上の成果を求められているってわけ。

タロウ

おお。プロっぽい。

花子先生

ただ好きな絵を描けばいいわけじゃないの。

タロウ

で、ですよねー。

花子先生

仕事として依頼される場合、
企画書が作られているときもあるし、ないときもあるけど、
依頼主がキャラクターを欲しがっている理由があるはず。
その理由をちゃんと理解して作らないと意味ないでしょ?

タロウ

なるほど。

花子先生

今回は企画書があるので、その企画書をよく読んで、
相手が何を望んでいるのかを理解しなきゃ。

エミ

その要望を形にするのがデザイナーの仕事ってことですね。

花子先生

そう!ただ絵を描けばいいってわけじゃないの。
場合によっては、ドローイングじゃなくて人形とか
ぬいぐるみとかの方がいいかもしれないよ。

タロウ

でも、ロボットが描きたいんです…。

花子先生

ロボットを描いてもいいよ。でも、ちゃんと関連性を持たさなきゃ。
企画意図とロボットというモチーフの間にいい関連を作れたら、
それは素敵なキャラクターにできるよ。
でも、今回のスケッチはそれが感じられないから駄目。

タロウ

そうですか・・・。でも、ロボットが駄目ってわけじゃないんですね!

花子先生

そう!自分の好きな題材を持っているのは武器になるわ。
ロボットにこだわっても構わないけど、
デザインは、面白い切り口を見つけることが大事なの。

エミ

切り口?

ハナコ

着眼点といってもいいかな。

ポール・ランドっていう著名なデザイナーはデザインの本質をこう表現してる。
Design is a relationship between form and content.
(デザインは形と中身の関係だ)
」ってね。

絵はデザイナーにとって重要な要素だけど、デザインの一要素でしかないのね。
絵を描くだけ、形を作るだけじゃだめ。その形と組み合わせる中身が必要なの。
情報と情報の接点を作ること、関係性を作ることが重要なのよ。

タロウ

なんだか、難しいんですが…。そんなのできるかな…。

花子先生

言葉でいうと難しそうだけど、意外とみんなやってることだったりするよ。
まぁ、でも、デザインは奥が深いよね。
だから、いっぱい考えて、いっぱい手を動かして、
いっぱい失敗して、いっぱい勉強しましょう!

タロウエミ

はい!

エミ

花子先生、次は私の見てください。

花子先生

じゃ、エミちゃんのはどうかなー。

エミ

お、お手柔らかにお願いします…。


はじめに
作者

こんにちは。
キャラデザ!〜キャラクターデザイン入門〜

の漫画とテキストを書いてる森田健(もりたけん)です。

成安造形大学では、主にアニメーションや3DCGなどの授業を担当しています。

最近、僕が興味を持っていることの一つに「」があります。

僕は落書き少年でしたが、子供の頃から落書きをすると決まって顔を描いていました。ドラえもんとかキン肉マンとかの顔をホントによく描きました。

昔から顔の絵を描くのが当たり前になっていたので、特に気にすることはなかったのですが、最近になって、ふと、なぜ顔がこんなにも気になるのか不思議に思ったのです。絵のモチーフは他にもいっぱいあるのに、顔というモチーフだけは特別な存在のような気がしました。

そうやって、顔について興味をもって身の回りを眺めると、街中、広告や書籍や映像など、顔を中心にしたビジュアルで溢れていることに改めて気づきます。
写真やイラストは、ほんとに顔ばっかりなんです。

どうして顔じゃないといけないんだろう、
人がそこまで顔に興味を持つのはなぜなんだろう。

皆さんはどう考えますか?

顔については様々な研究があり、調べてみると面白いことがいろいろわかります。

突き詰めると結局、脳や心理学の話になっていきますが、漫画やアニメのキャラクターもこれらのことと無関係ではありません。
僕が思うところでは、漫画絵は、脳のしくみに最適化したものに進化していってるようにさえ思えます。

連載企画「キャラデザ!」では、こういった興味で調べたことと照らしあわせながら、キャラクターデザインについて考えていきます。
僕の専門分野はゲームや映像分野のグラフィックですので、物語の登場人物としてのキャラクターというものも一緒にやっていきたいと思います。
予定では15回くらいの連載になる予定です。
業務の合間の連載なので不定期になりますが、よろしくおつきあいください。


今回の参考図書
『ポール・ランド、デザインの授業』
Michael Kroeger (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4861005841/

デザイナー必読!目から鱗が落ちます。
細かいテクニックが書かれているのではなく、
デザイナーが考えるべき本質的な言葉が書かれている本です。
デザインを少し勉強してから読んだ方が面白いと思います。
本も薄く、簡単な言葉で書かれていて、
どなたでも読めますが意味は深いです。

注意:
特にキャラクターデザインについて書かれた本ではなく、
主にグラフィックデザインについて書かれたものですが、
デザイン全般に渡って通用するものです。

  • seian
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